外食銘柄がディフェンシブでなくなる日。

弊ブログをご覧いただいているような読者の方にとっては、百も承知なこと
かと思いますが、外食銘柄はいかなる相場でも下がりずらく(上がりずらく)、
優待の改悪で下がることはあっても、減額修正くらいでは殆ど下がらない
妙なディフェンシブを備えています。よく例えに挙げられる日本マクドナルド
やゼンショー、コロワイドなどの外食銘柄の値動きを見れば一目瞭然です。
(言うまでもなく、優待目当ての人はあまり業績などは気にしないからです。)

そんな下値鉄壁の外食銘柄ですが、各社の業績動向を見るとちょっと暗雲
が漂ってきたように感じます。特に採用難とそれにともなう人件費の高騰は
無視できない水準になってますし、原油の下落に歯止めがかかりつつあり、
ガソリン代の先安観が薄れているのも、家計の可処分所得が減少するという
点においてはマイナスです。

具体的な例で言えば、ディナーで2~3千円の客単価を取ってきた食べ放題
を中心とする多業態外食業(焼肉含む)の減速感はあきらかですし、ここ数年
で相次いで高級メニューを投入してことごとく成功してきたロイヤルホストも、
1千円程度のメニューが増えており、客単価が落ちていると推察されます。

業界外に目を移すと、運送業が人材面でギブアップ寸前ですので、間違いなく
使用人の待遇改善の方向に向かうでしょうし、政策的にも違法残業の撲滅と
いったブラ〇ク労働を改善する動きがあるため、常にギリギリのシフトで回し、
グレーな待遇の会社が少なくない外食業は、大きな影響を受けると思います。
外食業では日常的に行われている、出勤時にはタイムカードを遅めに打たせ、
退勤時には早めに打たせるようなことにも、メスが入る可能性があります。

ただこういった逆風下であっても、冒頭で述べた通り、減額修正しても株価が
下がらないのが外食銘柄の良いところなのですが、このまま人件費等の高騰
が続いて
利幅が圧迫されるようだと、減配する銘柄も出てくると思います。
優待しか見ない個人投資家といえども、配当を含めた利回りで計算する頭は
持ってますので(←失礼な表現をご容赦ください)、減配する銘柄がちらほら出
だした時が、まさに外食株がディフェンシブではなくなる日です。

「業態開発力」とか「なんとかロケーション」とかは、実は二の次の話なので、
APカンパニーやクリレスHDが失速して、次はバルニバービが躍進するとか
そういう単純な構図ではなく、構造的に人が要らない仕組みを高いレベルで
実現しているサイゼリヤなどを除き、やや苦しい展開になってくると思います。

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コメント

  1. 池ちゃん より:

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    こんにちは。大事な問題を解りやすく上手に纏めて頂き解りやすかったです。
    読んだ感想は同感です。
    ヤマト運輸は繁盛貧乏で労働環境はかなり厳しいようです。
    再配達は時間がかかるためにマンションなど宅配ボックスがあるところから配達を始めているそうです。運送業界で宅配ボックスの取り合いです。
    今、運送業界が運送料をダンピングしているから通販やネット取り引きが成り立っていますが、運送料が上がると成り立たないところも出てくると思います。

  2. なちゅ より:

    SECRET: 0
    PASS:
    池ちゃんさん、いつもコメントありがとうございます。

    宅配ボックス優先・・・・まぁでもそうなるでしょうね。
    私もロッカーが150以上あるタワーマンションに住んでいた時期があるのですが、
    朝から宅配業者さんがその場に「常駐」して、空いたロッカーにすぐ入れるという
    ことをされておられましたので、実感としても理解しやすいところです。

    ヤマトがギブアップしましたので、運送料はもうまもなく騰がると思います。
    イーコマースに投資する際はこの辺のインパクトを考慮しないとまずい局面に
    なってきていると思いますね。

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