【8354】ふくおかフィナンシャルグループ(東証プライム) OP
現在値 3,866円/100株 P/E 10.6 P/B 0.75 3月配当株主優待 9月配当
傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位。
配当は年2回・合計130円のため、配当利回りは約3.36%となります。
ふくおかフィナンシャルグループは株主優待制度を導入しており、200株以上保有の1年以上株主に対して、預金金利上乗せやポイント進呈等の各種サービスクーポン、ご当地ギフトを進呈しており、3,000円換算した場合の配当優待利回りは約4.13%となります。
業績を確認していきます。
■2022年3月期 経常収益 2,804億円、最終利益 541億円 EPS 284.6円
■2023年3月期 経常収益 3,313億円、最終利益 315億円 EPS 165.5円
■2024年3月期 経常収益 4,074億円、最終利益 611億円 EPS 324.7円
■2025年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 685億円 EPS 362.3円 ce
□2024年6月1Q 経常収益 1,090億円、最終利益 209億円 EPS 110.6円(8/7)
□2024年9月2Q 経常収益 (未定)億円、最終利益 325億円 EPS 171.9円 ce
2024年3月期の経常収益はYoY+22.2%の4,047億円、最終利益はYoY+96.4%の611億円で着地し、期初予算並みとなりました。大口融資先の再生支援による与信費用が響いたものの、好調な中小企業向けの下支えで末残はYoY+4.2%の15兆3,576億円に漸増しました(貸出金利回りはYoY▲1bp.の0.99%)。利益面については、福中銀の負のれん益(+215億円)を原資に、みんなの銀行(▲93億円)、与信費用(▲242億円)、円債ロスカット(▲191億円)等を計上し、見通し並みの着地に仕上げています。
進行期である2025年3月期の予算については、最終利益はYoY+12.0%の685億円を見込んでいます。予算上の計数諸元は、末残YoY+1.5%の15兆5,946億円、貸出金利回りはYoY+4bps.の1.03%、与信費用は一過性要因の剥落により▲119億円としています。福岡中銀がフル寄与する福岡が堅調に推移するほか、半導体特需の熊本も好調が持続するものの、円債含み損拡大が懸念材料であり、その“綱引き”となります。なお8月7日公表済の1Q最終益は、YoY+25.9%の209億円とまずまずの水準で進捗しています。
当社はこの2025年3月期を最終年度とする3年中計で、最終利益を541億円→650億円に引き上げるほか、ROEは6%維持、OHR64.6%→60%への改善を目標としています。期初公表の“中計出来上がりイメージ”では、みんなの銀行の収益化遅れ・外債含み損拡大・与信費用増といった懸念要素が顕在化したとしても、九州エリアの好調な貸出状況や国内利ザヤ改善によるプラス影響で相殺し、目標過達となる見通しを示しています。
取組事項は、①第二次業務改革、②営業改革、③戦略子会社強化、④新事業挑戦を挙げています。①と②は主に各種DX施策であり、個人向けのアプリ・法人向けポータルの開設・機能拡充による利便性拡大と業務効率化であり、有人店舗削減や各種ローン件数増により、進行事業年度は単年で+46億円/yの収益改善を見込みます。③は傘下のCVCを活用した創業・協業を強化するほか、旧十八総合リースを東京センチュリーとの合弁会社に改組し、4月には三社割による資本増強で同社との折半出資に切り替え、不動産分野を拡大させる計画です。
④の主軸はアクセンチュアと開発したみんなの銀行”であり、終わった期(開業後丸3年)で190万口座&預金残高1,800億円とする目標に対し、実際は進行期で120万口座目標と大きくビハインドしており、既に▲180億円を減損計上しています。最終的に2028年3月期の黒字化を目標に、BaaS機能提供拡大等を目論んでいるものの、改善状況は遅々としており、既に撤退含みと解されます。
株主還元については、配当性向を35%基準(所定の配当テーブル有)により年15円の増配となる年130円配(配当性向35.8%)を予想しています。他方で上述したとおり、国債含み損が足許でも膨らんでいるほか、一気に15円増配することから、自社株買いについては見送っています。
*参考記事① 2023-09-01 3,392円 OP
【8354】ふくおかFG/外債含み損ほぼ一掃、福岡中央銀行の負ののれん益計上が見込まれる。
*参考記事② 2023-02-11 3,015円 OP
【8354】ふくおかフィナンシャルグループ/外債含み損を一掃で下方修正、福岡中央銀行と経営統合。
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