【1419】タマホーム/足許の受注状況は好調で、年70円配復元の公算が高いとみる。

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【1419】タマホーム(東証一部) NT

現在値 1,443円/100株 PER10.6 PBR2.01  5月配当株主優待 11月配当優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月末・11月末の年2回、合計60円のため、配当利回りは約4.16%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.85%となります。また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約5.54%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年5月期 売上高 1,570億円、営業利益 39.0億円 EPS 30.0円  

■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円  

■2019年5月期 売上高 1,868億円、営業利益 73.6億円 EPS 130.8円  

■2020年5月期 売上高 2,092億円、営業利益 98.7億円 EPS 172.7円  

■2021年5月期 売上高 1,950億円、営業利益 75.0億円 EPS 135.0円 ce 

□2020年8月1Q売上高  442億円、営業利益 13.3億円 EPS 43.5円(10/12)
□2020年11月2Q売上高  900億円、営業利益 25.0億円 EPS 40.7円 四e

2020年5月期の売上高は前期比12.0%増の2,092億円、営業利益は同34.0%増の34.0億円となり、2桁の増収増益となったほか、期中の増額修正予算に対しても上回って着地しました。住宅事業における期初時点での受注残高が前年比22.4%増の1,269億円と相当な高水準を確保していたことや着工時期の平準化施策等も奏功し、上期での引渡しが極めて順調に進んだことが主な増収要因となります。特に新型肺炎影響が本格化する前の2019年7月に、不動産事業において羽田のタマディアホテル(現:京急EXイン 羽田・穴守稲荷駅前)を京浜急行電鉄に高値で売却し、その売却益でおよそ十数億円の営業利益を確保したことが大きく寄与しています。

進行期である2021年5月期の予算については、売上高が6.8%減の1,950億円、営業利益は24.0%減の75.0億円を見込んでいます。新型肺炎の影響もあり、住宅事業における期初時点の受注残高は6.4%減の1,187億円とやや低調ではあるものの、足許の受注状況については、開示されている8月までの9ヵ月累計の受注実績(注文・建売・リフォームを合算した住宅合計)は114%水準に達しているほか、7月末時点の会社側アナウンスによれば受注棟数計画(9,732棟)に対して順調であることを認めているほか、1Qから黒字確保見込みであることが示唆されています(※10月12公表済)。新型肺炎禍にもかかわらず、足許好調の要因としては、当社は自社のみでコントロールし易い単独展示場が多い点や、相対的に影響の薄い地方拠点が多いこと、商業・娯楽施設の営業縮小で“家探し”のニーズが増加したことが挙げられます。なお、減益予算となるのは実績期1Qにおけるホテル売却の剥落影響(営業利益十数億円)が主な要因です。

 

今期は本来的には「タマステップ2021」という3年中計の最終年度の位置付けであり、定量目標値としては売上高を1,679億円→2,400億円(CAGR12%)、営業利益46.5億円→120億円(CAGR37%)にそれぞれ伸長させる計画でしたが、かかる新型肺炎の状況もあり一旦棚上げとしています。基本的には、当社の地盤である九州・西日本から、棟単価1,000万円~1,500万円前後の低価格な“半企画型(プリフィックス型)注文住宅”を武器に、手薄だった東日本エリアへと本格進出する東進戦略となります。実際のところ、戦略商品である地域限定商品は想定よりも高い1,700万円前後で飛ぶように売れているため、本年1月からは商品性を向上させた上で価格改定をして棟単価の引き上げを実施しているような状況です。

 

ここ数年の取込として、注文住宅事業の拡大だけでは成長に限界があるため、不動産事業における相続対策商品である区分所有オフィス販売に注力していくような動きがありました。都心5区で10~20億円の中小型オフィス物件の仕入れ、ボルテックスのようこれをリノベ→小口再販することで10~20%の営業利益を抜くという算段でしたが、新型肺炎影響によりこれら中小型オフィスのテナント賃料負担力の減少や、主要顧客となる中小企業オーナーの購入余力低下が懸念される状況のため、足許ではさほど積極的に実施していません。そのため、当面は注文住宅事業やリフォーム事業拡大といった“本業回帰”によるオーガニックな成長路線を再志向するとみられ、ひとまずはローリング予定の新中計の公表を待つ格好となります。

なお当社は2013年の東証上場時に調達した約70億円を含め多くを眠らせていましたが、業績の回復基調が鮮明になるにつれて、急ピッチで株主還元へ資金を回しており、配当金の推移については【10→15→30→53→60→70円】と、増配基調を鮮明にしているほか、ここ最近は断続的な自社株買いも実施してきました。元より注文住宅事業を生業とする当社は、顧客より先に資金を受領するため資金繰りの状態が良いのが特徴であり、今期こそ期初時点では10円減配の年60円配を予想していますが、少なくとも横ばいの70円程度に復元される公算が高いと思われます。

 

*参考記事① 2020-04-08 1,123円 NT

【1419】タマホーム/受注残豊富で今期は逃げ切り濃厚も、2月の増配は“勇み足”。

 

*参考記事② 2019-10-22 1,765円 OP

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

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